月と海の間で

ゆらゆらと 波にゆられて 思うこと

Po'ohina-ポオヒナ

ポオヒナが 生まれたのは 2006年の春。

彼女は 私のバースデープレゼントのように現れ そして一緒に 住むことに

なった。

生まれて間もない彼女は 遊び好きの母親に 忘れられ お腹をすかしている

ところを 他の2匹とともに 救出された。

他の2匹は 青い目に 薄灰色の縞模様で 彼女だけが 翠の目に 全体が

ねずみ色で お腹のところだけ ドラえもんの ポケットのように 白い毛が

生えていた。何日 グルーミングしてもらえてなかったのか 引き取るときは 

グレムリンのような 見た目だった。

ポオヒナとは ハワイ語の 灰色と 頭ということばを 勝手に くっつけて

作った 名前だ。

2012年の ある時点までは 私たちは まるで恋人同士のように 繋がって

いた。ときには 彼女が 母親のような 気もした。

 

彼女の愛は 変わらなかったのだが 私の方が 変わってしまった。

というより 無理やり 変えてしまった。

理由は 彼女とのつながりが 強すぎることが 怖かったのだ。

私と 彼女は かくれんぼをして遊べるほど 意思の疎通がある。

彼女は 私の言うことを とても理解していて 出かけるときに 帰ってくる時間を

告げると その時間に 彼女も 家に帰ってくる。

私の 人生に 変化が起こるとき 彼女は 数日間 姿を消す。

そしてその後 必ず 良いことが起こる。

私は 彼女が お百度参りに行っているのだと 思うようになった。

ときには どうしても ある時間に 外に行かなくてはと急かすこともあった。

そのとき 私は 彼女が 宇宙との交信のために いつもの場所に 行かなくては

いけないのだと感じた。

彼女の骨格は 他の猫たちと ちょっと違っていて どちらかというと 人間に

近い。突然 二足歩行するのではないか?と 思わせる。見ていないところでは

実は 其のように歩いているのかも知れない。

 

どこまでも 魅力的な ポオヒナが いつか私と 離れるときがきたら それほど

辛いことはないと思うと 距離を置いた 付き合いをすれば いざその時が 来ても 

辛くないだろうと思い 少しづつ 彼女と 距離を 取り始めたのだった。

当然 彼女は 戸惑った。

そして いつしか彼女は 真夜中に帰ってきて 明け方出て行くという 私とは 

私が 寝ている時間だけ 一緒にいる生活を始めた。寝ている時間だけといったが 

これまでのように 一緒に寝てくれたわけではない。彼女は 別の部屋で 寝た。

いろんな変化の中にいた私は そのことに それほど苦痛を 感じる暇はなかった。

 

転機が訪れたのは そうした生活から 1年が経つ頃だった。

近所の誰かが 毒の混じった食べ物を 仕掛けたのを 彼女が食べてしまったのだ。

数日 帰ってこない彼女を 近所の藪の近くで見つけた時は かなりやせ細り 

意識が朦朧としていた。家に連れてきても 吐き戻してばかりで なにも食べれない。

それなのに 時間になると 外に行こうとして よろよろと 歩き始めたのだった。

私は 彼女と二人で まだ暗い 夜明け前の ベランダの カウチに座りながら

もう こんな生活をしなくていいんだよと 言い聞かせた。

彼女の瞳は 気が遠くなりそうになりながらも 私を見つめていた。 

 

夜中のうちに クリニックの留守電に メッセージを残したら 翌日早朝に

電話がきて すぐに診てもらえることになった。

マルチーズサイズの彼女が 本当に 痩せこけて 不憫だった。

ドクターが 注射器を使って 衰弱した猫用の餌を 食べさせる。

彼女が それを 飲み込んだ瞬間 診察室で 涙が出てきた。

衰弱が激しかったので 点滴もしてくれた。

その時 私は 彼女と過ごす時間を もっと増やそうと 心に誓った。

私は 本当に 彼女に メロメロなのだ。

そして 実際 彼女が また一緒に寝るようになるまでには それから 3年

かかった。それは その間に チビが 家にやってきて その後 ジジも

やってきたから お互いの縄張りが 明確になるのに時間がかかったし 次々と

他の猫を 連れてくる私を 彼女は まだ 信用していなかった。

彼女は 本当は 二人っきりが良かったのだ。

 

出会ってから 11年目の春が 過ぎた。

猫年齢では おばさんなのだろうが 最近 また 昔のかくれんぼを 思い出し

部屋中を 一緒に 走りまわるようになった。

夜中に 手を伸ばすと 隣で寝ている。(時々 チビにすり替わっていることもある)

 

ポオヒナ的には 今更なによと 思っているのかも知れない。

本当に 身勝手な飼い主だ。

それでも 彼女が 未だに 私を捨てずにいるのは きっと 時々振舞われる

エビが 理由だと思っている。

彼女は 冷蔵庫に エビが入っている日を きちんと当てることができる。

私は エビのために キープされているにすぎ無い。

猫を 飼い主に持つ 人間の運命とは そんなものだ。

 

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