月と海の間で

ゆらゆらと 波にゆられて 思うこと

流動的

先週 ハワイに来ていた甥は 以前は 証券会社に勤めていた。

成績も良く 周囲から 惜しまれながら 外資系金融機関に 転職した。

転職後 わずか1年で トップ10に入るほどの 成績を収めた。

 

が 彼の仕事ぶりは アグレッシブから 程遠い。口が上手いわけでもない。

そして 彼を 慕う 同僚の数も ものすごく多い。

 

証券会社に入って 間もない頃 彼は 地方で営業をしていた。

ある家を 訪問したときだった。そこの家主が 以前 とある証券マンに

騙されて 多額の資金を失ったことを知った。だから 2度と取引はしないと

言われた。

詳しいことは 聞いていないが 最終的には 証券会社を 信じられなくなって

いたその人が 甥の顧客になったのだ。

それだけではなく、売上の伸び悩む地方でさえ 彼は それなりの業績を上げた

ので 会長から 直々に連絡があり 一緒に 食事に行ったことがある。

 

幼い頃から 水泳をしていた彼は 中学 高校 大学と 水泳部に 所属し

一時期は オリンピック強化選手の トレーニングで アメリカにも きたことが

ある。とにかく 泳ぐことが好きなのだ。

中学のときも 中国での水泳大会に 参加した 経験を持つ。

そのときの話。

数日間の 滞在には 通訳がついていたそうだ。

そして 最終日 その通訳が 空港まで 送りに来たのだという。

もちろんそこには チームの指導者と 他の選手も一緒だった。

通訳の人と 別れるとき 彼は お礼の言葉とともに 残っていた 元(中国通貨)

を 通訳の人に チップとして渡したのだという。

それは 当時の日本円にすると 500円ぐらいだったそうだ。

通訳の人は 予期しなかった出来事に 驚き 感動して その場で 泣き出したとい

う。

水泳のコーチも 家族の誰も 彼に チップの話など したことがない。

海外に出かけるということで 自分で 情報収集したのかもしれないが それにしても

彼の そうした行動には 時々 いい意味で 驚かされる。

 

今回の彼の旅は 会社からの 表彰を兼ねていた。

忙しい スケジュールの合間を縫って 2〜3時間しか 会えなかったけれど 少ない

彼の 情報から 彼の ビジネススタイルが とても流動的なのを感じた。

魚の群れは お互いに ぶつかることがなく 泳いでいく。

水の中は 水圧や 水の抵抗があるので 陸に比べると 摩擦が少ない。

また 水圧や抵抗があるからこそ 効率良く 動かなくてはいけない。

 

水の中で 長いこと過ごしてきて彼は 本人も 気づかないうちに 水の特性を

生かした 生き方というものを 自然に身につけてきたようだ。

人だけではない。お金でさえ 彼によってくる。

母子家庭で育った 大学時代は パチンコで稼いで 妹や弟の 生活の一部を

支えていたこというのだから 驚く。

 

そんな彼は 決して 奢ることがない。

なぜか いつも 周囲の支えによって 今の自分があるというのを 常に感じながら

生きているのだ。

だから どんなときも 誰に対しても 頭が低く 感謝の念を 忘れない。

 

そういえば 彼がまだ 8歳か9歳の頃 レゲエの屋外ライブがあり 連れて行った

ことがある。

アーティストは ほとんどが ジャマイカから来ていた。

演奏が始まって 少し経つと 彼は 席から立ち上がって 突然 踊り出した。

誰が おしえたわけでもない。が 彼なりに 音に合わせて 体を揺らし ステップ

を 踏んでいるのだ。

 

思うに 彼は 自分を 止める理由が 何もないことを 知っている。

意識的に 知っているかどうかは わからないが それが 彼の 全ての行動の

根本にある。

中国での出来事も 証券会社での経験も レゲエライブも 彼は 自分の内側と

しっかり繋がっていて そこを 元に 行動している。

彼の生き方とは 彼そのものの 表現の連続からなっている。

だからこそ 周囲に 影響を与え 自然と フォロワーが 増えるのだ。

そして 自分でいることに ギクシャクしない。

つまりは 流動的という表現が 妥当だろう。

見ていて 学ぶことが 多い。