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moonandoceanhawaii’s blog

ゆらゆらと 波にゆられて 思うこと

クレニオセイクラルセラピー セッション1〜2

Bさんが 電話をしてきたのは お兄さんが なくなって すぐあとだった。

彼女のお兄さんがなくなる前日 私は お兄さんの奥様から依頼を受けて 彼に

会いに行った。

奥様に 書類を記入してもらう。そこに モルヒネ投与とあるので 量を聞く。

書き込まれた数字から 末期ガンだと把握する。本人が そばにいるので あえて

声に出さない。本人は モルヒネの投与を知らない。

奥様が 耳元でそっと言う。最後の願いが マッサージを受けることだと いつも

言って居たので 来てくれてありがとう。

書類に 一通り目を通し リビングに座る彼を ベッドに 移動させるように

奥様に お願いする。その間 私は 車に向かう。

車には ガン患者からの仕事の依頼のために 手術用のラテックスの手袋が

積まれているのだが 一組 箱から取り出して やっぱり 今回は 素手でいく

ことにした。もしかしたら 彼にとっては 最後のマッサージなのだ。

手を洗い 部屋に入る。孫たちが おじいちゃんを見に 出入りするので

部屋のドアは 開けたまま。

腎臓の機能がほとんど 停止してしまい 体内の水分調整がうまくできずに

脚の 皮膚がところどころ破れ そこから リンパが流れ出している。

むくんだ脚を 不快に感じる感覚があるのかどうかは わからなかったが

とりあえず 一時的に それが止まるような ワークをする。

それと 腕や肩、手。人と交流する時に もっとも使う場所。

おじいちゃんに たくさんの人とした握手、ガールフレンドたちと組んだ腕、

親友たちと組んだ肩を 思い出して欲しかった。

そして クレニオワークで閉める。

モルヒネのせいか ワークのせいか 途中リラックスして 眠りに落ちていた。

セッションが 終わると 顔色も明るくなり 笑顔になっていた。

部屋を出ながら また来るねと 聞こえるように 大きな声で言ったが

彼の目は 天井を見あげながら もっと遠くを見つめていた。

心の中で また来るねは 来ないかもしれないねと言って その家を出た。

翌日 午前中 奥様から 電話が来た。早朝、彼は 苦しむことなく 静かに

旅立っていったと 報告してくれた。私は それは良かったとだけ言って 電話を

切った。

数日後 Bさんは オフィスにやってきた。

どうしたのか?と聞くと ここ10年ぐらい 左腕が上がらず 医者に行っても

よくわからないのだという。その時点で 彼女は 70歳を過ぎている。

それで 私にも わからないかもしれないけどと言うと 「あなたが来た後、兄の

脚から 体液の漏れるのが 止まったんです。だから あなたなら 治せます」と 

Bさんは言う。

それは 止まるような ワークをしただけのことですよと 私が答える。

ともかく あなたは もうここにいるのですから 私は ベストを尽くしてみますと

答えた。これはあくまで 安心させる言葉。私が ベストを尽くしたところで 治る

ものは 治るし 治らないものは 治らないのだ。が そんなことは 言えない。

彼女の頭の中は 私を信じきっている。

セッションに入って間もなく 彼女がいびきをかき始める。

このセッションには よくある話だ。と 突然 彼女が 喋り出す。

「お父さんが、うちのバカな お父さんが 酔っ払って帰ってきて 床に寝ている

私の肩を ふんずけたのよ〜!私はまだ 6歳だったの!お父さんは 本当にバカよ」

寝言なのに 彼女は とても怒っているのがわかる。

わたしは 椅子から立ち上がると 問題の 左腕の側に立つと 手首を軽く持ち

少しずつ 頭の方へあげてみた。すると なんなく腕は まっすぐに上がり わたしは

Bさんに 終わりましたよと言って その声で 彼女は 目を覚ました。

そして 待合室の椅子に座ってもらうと そこで 腕が上がるかどうか 自分で 

試してもらうことにした。実際上がったことは まだ秘密だ。

恐る恐る腕を動かす Bさん。もっと上に もっと上にと 誘導するわたし。

彼女の 左腕は 痛みを感じることなく まっすぐ上まで上がった。

彼女は 目を丸くして 驚いている。そして わたしは 彼女が寝言で言ったことを 

繰り返した。きっと その時の怒りが 何十年も経って たまたま出ただけじゃないで

すか?だから もう大丈夫でしょうと言った。また来てもいいですか?と聞かれた

ので 大丈夫なら 来なくていいんですよと答えた。が コンディションが戻ったら 

その時は 連絡してくださいと言った。わたしは クライアントが執着しそうに

なるのを 止めるようにしている。

執着は 心の弱さをまねき 自己治癒の邪魔をするからだ。 心の弱さとは

他人に依存し 自己の力を 信じないことだ。

連絡は 未だにないので 良い状態が 続いているのだと 思っている。