月と海の間で

ゆらゆらと 波にゆられて 思うこと

By your side

youtu.be

 

25年ぐらい前のことか、私は スリランカの コロンボ駅で 南行きの 列車を

待っていた。

滞在先から コロンボに向かったのは 早朝だったにもかかわらず イミグレーション

オフィスが 思ったよりも 街の中心地から 離れたところにあり 歩いての移動と

ビザ延長手続きで 待ち時間が 長かったこともあり コロンボを出るのは 夕方近く

なっていた。

午後の コロンボ駅には なぜだか サラ ヴォーンの センチメンタル リーズンが 似合う。

そんなことを 思いながら 埃っぽい 階段を上って 指定のホームへと向かう。

階段を降り 少し離れたところで 列車を待つことにする。

階段のあたりは 降りた乗客で 混み合うからだ。

と 右手に 人の気配を感じた。
私の視界には 背の高い 髪の毛の長い 肌の浅黒い女性が 映った。
ヨーロッパからの 旅行客が多い この島には 割と ありがちな 光景だった。
が 彼女の 毅然と立つ姿、そして 黒のベストに 7部丈の ジーンズという シンプルな出で立ちは まるで モデルのような 雰囲気を 醸し出していた。

列車が ホームに入る。私が先に 乗り込んで 座席に座る。
その女性は 私の 二つ先の 座席に 私の方を向いて 座った。
その時 初めて 彼女の顔を見た。
”あれ?シャーデー アデュ?” そう思った瞬間 ストロンガー ザン プライドの
アルバム ジャケットが 浮かんだ。
彼女が ビーチに佇んでいる 写真だ。
あの 独特の砂の色。あれは スリランカで 撮影したのだろうと ふと思った。


何か 話しても よかったのだが プライヴェートな旅行で 静かな時間を 邪魔するのは 悪いと思い 気づかないふりをしていた。
金持ちが 滞在すると言われている町で 彼女は 列車を降りた。

それから 長いこと 私は スリランカに 出たり入ったりしていたのだが 彼女を見かけることは なかった。
それも そのはず 彼女は 新しいパートナーと共に ジャマイカに越したのだから。

それから 数年後 ラヴァーズロックが 発売になる。
私は ちょうど ハワイを 旅行中で アラモアナの タワーレコードで そのCDを購入した。そして 私は ここ ノースショアの波と 恋に落ちた。